開発期間とデスマーチの関係
理想の開発期間を求める方法はわかりましたが、プロジェクトによってはその開発期間のとおりに期限を設定できない場合もあります。しかし、開発期間をむやみに短くしてしまうとプロジェクトが破綻する可能性が急激に高くなってしまうので十分な注意が必要です。
開発期間とデスマーチには相関関係があります。理想開発期間に対する最大の短縮率は
75%
と言われています。たとえば理想の開発期間が10ヶ月かかる作業を7.5ヶ月以下のスケジュールで実施しようとすると統計的に急激にデスマーチになる確率が高まります。
これには様々な原因がありますが、アプリケーションというものはその仕様を決定しなければ開発は行えません。しかし、仕様を決定するにはお客さんとのやりとりが発生します。そのため、迅速な意思決定が行えない事がほとんどです。また、ウォターフォール開発では結合テストフェーズでも実際に使用してみないとわからないような仕様の問題点が発生する事もあります。技術的な問題が発生するような場合でもどうやって回避するのかを調査検討する、ベンダーに調査依頼をする等のやりとりの時間が必要になります。
アプリケーションの仕様が完全に決まっていて技術的な問題が全く発生しないのであれば良いのですがそのようなプロジェクトは存在しません。開発期間が短すぎるとこのような仕様検討による作業の遅れが吸収できずに致命的な問題となってしまいます。また、期間を短くしてしまうとその分一時期に動員されるメンバーの数も増えてしまうので、その分のコミュニケーションコストや管理コストも必然的に増加する事になります。
プロジェクトによっては圧倒的な短期間で開発を成功させている事例もたくさんありますが特殊なケースがほとんどです。制度要件のようなどうしてもアプリケーションの規模に関わらず期限が決まってしまうような案件で無ければ、出来るだけ理想の開発期間でスケジューリングするように心がけてください。
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