実は近くに落ちていた工数見積の銀の弾

工数見積りに銀の弾はないと書きましたが、実は比較的容易に下手するとだれにでも工数見積が行える方法があります。それは基本設計に実際かかった工数を元にその後にかかる実装やテストの見積りを行う方法です。基本設計が終了していれば明確に仕様が決まっているため積み上げ法による見積りもかなりの精度で行う事が可能になります。また、COCOMOの指標や今までの既存プロジェクト実績値による基本設計とその後の実装やテストにかかった割合を利用する事で新人にでもある程度正確な見積りを行う事ができるのです。


設計と実装・テストのおおまかな割合は

設計:3 実装・テスト:7


になります。


いや、見積りは要件定義の時に行うので基本設計が終わった後では遅いと思われるかもしれませんが、それが撃てるかどうかはわからない落ちていた銀の弾と表現している所以です。


要件定義の段階で80%は概要が確定していないと職人でも実際にかかる工数を見積る事は難しいという話をしました。しかし、要件定義の段階で全く要件が確定していないプロジェクトも存在します。その場合によく用いられる方法は基本設計までを準委任契約として契約を行い、その後の実装からテストを請負契約で契約する方法です。


準委任契約とは事実行為を委託する場合の契約で、開発者側は基本設計書を作成するという作業を行いますが完成責任を負いません。設計書の作成までを準委任契約として実際のアプリケーション開発部分を請負契約とする事で、開発者側の仕様がわからないリスクを回避しつつ、お客さんが必要としているアプリケーションの完成責任を負う事が出来ます。


要件が固まっていないというリスクをお客さんに肩代わりしてもらうという側面があるため、受け入れられないプロジェクトもあるかと思いますが、このような契約形式もあるということを仕様が決まっていない場合の対応方法として頭に入れておくと良いでしょう。


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